皮膚は健康状態を映す『三面鏡』

近年は女性だけでなく、男性も10代の頃からスキンケアをするようになってきました。いつまでも綺麗な素肌を保つことは、男女問わず永遠のテーマといえます。毎日のスキンケアで肌を整えることはとても大切なことですが、そもそも皮膚のコンディションは何で決まるのでしょう?
今回は、皮膚が担う大切な役割である『三面鏡』という考え方をお伝えします。

 

皮膚の役割

皮膚は体内の内臓を守り、水分が逃げないよう保つ“袋”の役割を持っています。ウイルスや様々な病原菌など、外界からの刺激から保護する境界でもあります。
知覚センサーの役割もあり、「温・冷・痛・圧・触」の刺激を敏感に感知し、神経を通して脳へ信号を届けます。どのような刺激(影響)を受けてどんな信号を送るかにより、自律神経の働きが変わってきます。この働きは皮膚のコンディションに大きく関わります。

< 交感神経が優位の時 >

  • 体内の血流量が増加 → 毛細血管拡張
  • 発汗量増加
  • 毛穴の拡張 → 皮脂分泌が活発になる

べたつき・吹出物ができやすくなります。

< 副交感神経が優位の時 >

  • 体内の血流量が穏やかになる →毛細血管収縮
  • 発汗量減少
  • 毛穴の収縮 → 皮脂分泌が減少

肌の保護膜となる皮脂が減少するため、かさつき・炎症が起きやすくなります。

 

『三面鏡』の考え方

皮膚は常に身体に起こる変化に対応しています。そして皮膚表面のコンディションとして、体内の状態を外側に向けて知らせてくれています。つまり、皮膚コンディションは『結果』です。その結果を鏡として、自身の健康状態や生活習慣を振り返ってみましょう。

【 環境の鏡 】

紫外線
夏に向けて意識が高まる傾向はありますが、一年通して紫外線は降り注いでいます。皮膚深部まで届き、コラーゲン繊維の芽を破壊するUV‐Aはガラスを通す為、室内まで入ってきます。知らず知らずにUVダメージが蓄積し、老化肌に繋がります。
大気汚染
工場,事業所,自動車,家庭から排出される汚染物質によるもの。PM2.5など、汚染物質は毛穴より微細なため、炎症、吹出物などができやすくなります。
ホコリ、ハウスダスト
「外気よりも室内の空気の方が汚れている」といのうことをご存知でしょうか。目に見えるホコリや汚れだけでなく、ハウスダストやカビの胞子、料理で使用する油が揮発していたり、整髪料スプレーなど、多くのものが舞っています。

【内臓の鏡】

食生活
偏った食生活や栄養不足は身体の機能に大きく影響します。また、不規則な食事や暴飲暴食は、消化器官に負担をかけます。
病気
黄疸や発赤、血流不足のくすみなど、顔色に表れやすいです。身体の代謝機能が乱れる事で皮膚トラブルに繋がる病気もあります。
喫煙
肺機能を低下させるだけでなく、毛細血管を収縮させる働きがあるため、血行不良を起こします。

【 精神の鏡 】

精神的ストレスは、自律神経の乱れを招きます。交感神経と副交感神経はどちらもうまく機能し、適切に切り替わることで健康を保っています。自律神経が乱れると睡眠障害が起きたり、内臓機能の低下、ホルモンバランスの乱れを招くため、皮脂分泌や角質代謝に影響が出ます。

 

この3つの鏡が映し出す結果が、皮膚に現れるコンディションになります。
身体が健康で環境に合った適切なスキンケアができれば、本来備わっている皮膚機能が正常に働くため、健やかな肌を保つことが出来ます。皮膚の健康状態を表す三面鏡とはいえ、これは決して肌だけの話ではなく健康な生活を送るうえでどれも大切な指標です。

ぜひ鏡を見る際は、この健康状態を表す『三面鏡』を思い出しながら肌を観察してみてください。そして日常生活を振り返る機会にしてみてください。

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